都立中高一貫校の不登校について(2)
もう少し詳細に見てみる。まずは、年度別の募集人員である。2023年度は一学期のデータしかないため除外した。増えていると言えば、そう思えないこともないが、これだけでは何とも言えないレベルである。
次に、学年/学期毎の募集人員を見てみる。ただし、これはある学年に着目して追跡した結果ではなく、単純に各学年、各学期の募集人員を集計したものである。具体的には、例えば、2017年度の3学年については、それ以前のデータがないため、結果に含まれていないということである。第1学年の一学期から、第三学年の三学期まで追跡できるデータだけに限定することもできるが、件数があまり多くないため、このようにしている。おおまかな傾向はつかめるのではと思う。
概ね右肩上がりに増加しているが、これは高学年ほど退学者が多いということではない。先に述べた「都立高等学校転学・編入学募集実施結果」によると、募集人員に対して、応募人員はかなり少なく、合格人員はさらに少ない。例えば、令和4年度第二学期の普通科区分2の合計を見ると、3,448人の募集に対して、応募人員は178人、合格人員は79人であり、3%に満たない。つまり、募集はしているものの、欠員はほとんど充足していないため、応募人員は退学者の累積値とほぼ等価になっていると思われる。
第一学年の二学期の募集人員は、高校に進学してすぐに退学した生徒を示していると考えられる。一般都立で高校受験を突破して入学してすぐに退学ということは比較的稀であると考えられ、実際に募集人員は少なめである。その後、第二学年の一学期(募集は3月頃)まではほぼ変わらず(若干減少)、第二学年の二学期から増加を始める。入学して最初の時期を乗り切ったものの、「心折れる」時期がこの頃なのかと思われる。
一方、中高一貫の場合、第一学年の二学期の時点で募集人員がかなり多い。高校に進学して、最初の一学期で退学してしまう生徒が多くいることを示す。これは、中入生が大半なのではと思われる。また、一般都立の場合と異なり、募集人員はすぐに増加していく。一般都立のような「様子を見」ている傾向は見受けられない。第一学年の段階で、今後の見通しが暗いという判断が行われていると考えられる。これも、中入生の割合が高いと思われる。
中高一貫における退学者の中入/高入の内訳が分からないと述べたが、以上を勘案すると、少なくとも第一学年の退学者は、中入生が多いのではと推察する。高入生が、高校受験を突破して一年経たないのにやめる決断を下すのはなかなか難しく、様子見したくなるのが人情ではと思うからである。