中学校の内申について(3)

評定の妥当性を検証する前に、「学力調査」のデータを見てみる。中学校3年生の国語に関しては、最高得点の自治体は75点、最低得点の自治体は52点である。思っていたよりも、差が大きい。

自治体別の国語の得点分布

分布を見てみると、最高得点・最低得点ともに外れ値っぽいので、普通に分布している範囲というと、60点~71,2点位だろうか。それでも、10点差があり、自治体毎に結構差があることが分かる。

それでは、「評定調査」を見てみよう。まずは、「学力調査」の国語の得点と、「評定調査」における国語の評定の平均を、自治体毎にプロットしたグラフを示す。

横軸が「学力調査」の国語の得点、縦軸が「評定調査」の国語の評定の平均である。例えば、左下「自治体29」は、得点が60点で、評定の平均が約3.24であることを示している。自治体名は、いろいろと差し障りがありそうで伏せた。

印象はどうだろうか。自分としては、先生はちゃんと評価しているんだなと感じた。相関係数はそれほど大きくなくてバラつきもあるけれども、正の相関があるのは明らかである。過去の相対評価のときの割合に引きずられていて、学力調査とは無相関に近い状態なのではと予想していたので意外だった。東京都の判断についても、「全体としてはおおむね適正に実施され」位までは妥当と言っても良さそうである。

しかしながら、「客観性・信頼性は確保されている」とまで言うのは言い過ぎではないかと思う。特に、評定を高校入試という重大イベントに使うという点においては。評定の平均ではピンと来ないので、国語の5の割合について見てみる。

どうだろうか。難しい分析をするまでもなく、学力調査での得点が同じ自治体で評定が5の割合が異なることが見て取れる。例えば、学力調査での得点が62点の二つの自治体、自治体13と自治体21では、7%ほどの差がある。つまり、1学年が100人だったとすると、同じ程度の学力であるにも関わらず、自治体13の方が、評定が5の生徒が7人多いということである。これは、結構不公平ではないだろうか。

この違いが、入試において、どの程度のインパクトを与えるのかは、正直よく分からない。ただ、入試で最も大事なことの一つは公平性だと思うので、現状の内申を入試に使うのは適切でないのではと感じた。

それ以外に、何を読み取れるかはなかなか難しいが、一点気になったことがある。それは、「学力が低いと世間でみなされている」自治体が過剰に評定を厳しく付けている(逆もある)のではないかということである。確たる根拠がある訳ではないのだが、学力が高そう・低そうな(個人的な)イメージの幾つかの自治体に関して、前者は残差が+(「学力調査」の結果の割りに、「評定調査」の結果が甘い)、後者は残差がーの傾向があるように見える。先生の先入観が、評定に過剰に影響を与えているのではという気がする。これについては、もう少し検討してみたい。

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