中学校の内申について(2)
2. 全国学力・学習状況調査
公立小・中学校の児童生徒の保護者はご存じだと思うが、文部科学省が、「全国学力・学習状況調査」(以下、「学力調査」)という調査を実施している。「義務教育の機会均等とその水準の維持向上」を目的としているのだそうで、まことに結構な趣旨である。ただ、「機会均等」は良いとして、「水準」に関しては、あまり役に立たない気がするが。国全体・都道府県別等の調査結果は国が公表しており、どの県がトップといったニュースになったりもしているので、小・中学生の保護者でなくてもご存じかもしれない。
調査結果は、国による公表、児童生徒への個人票提供に加え、「教育委員会及び学校に当該教育委員会・学校の調査結果」が提供されている。つまり、各自治体教育委員会は、その自治体全体および自治体内の公立学校における結果を持っているということである。これを使えば、評定の客観性をある程度評価できそうである。詳細は後述するが、「学力調査」の得点が高い自治体、あるいは学校は評定で5が多い、といった関係が見い出されれば、評定の信頼性はある程度担保されているということになる。
ということで、東京都内の各自治体の「学力調査」の調査結果を探し始めた。ところが、これが結構大変だった。過年度の結果も含め、まとめて公開されていて、すぐに見つかる自治体も一部にはあるが、なかなか見つからない自治体が非常に多い。市報や教育委員会報、議事録のような形でしか見つからない自治体もあった。結局、見つけられなかった自治体も結構ある。
ちなみに、埼玉県は県が自治体から集めた情報をまとめて公表しており、フォーマットも統一されていて、非常に利便性が高かった。こういう地味なところをちゃんとやってくれると、とても好感が持てる。ひとつ気になったのは、公表ページの最後にあった、「県による公表について同意した市町村の結果を掲載しています。」との但し書きである。人口が少なそうな町村を除くと、同意しなかった自治体(市)は2つあった。ただし、両方とも自治体としての公表は行っており、県がまとめて公表することだけに同意しない理由は不明である。
話を戻す。「学力調査」では、自治体別の「得点」が開示されている。具体的には、小学校6年生、中学校3年生の国語と算数(数学)の平均点である。一方、「評定調査」では、中学校3年生の学校別の評定の「分布」が開示されている。よって、「学力調査」との関係を調べるためには、「分布」から何らかの統計的な数値を求める。学校別の数値を自治体別の数値に読み替えるには、単純に平均を用いることにする。数値としては、
- 評定の平均
- 評定が5の割合
- 評定が1の割合
などが考えられる。このように、「評定調査」から計算した数値を、「学力調査」と比較することで、評定の適切さを分析してみる。
探す過程で、学校単位で公表している例も見つかったが、さすがにこれは少なかった。